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今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
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至誠堂刊。

新婚旅行先はもうちょっと考えるべきだと思います艦長。嫁さんが侠気溢れる上に演技派だったから良かったものの。

仏領ギアナは一度は行ってみたい場所です。何故ならロケットの発射場があるから。打ち上げを見たいんですよ(種子島すら未踏なのに)。地球の自転も速度に加えられる上、衛星軌道に乗せ易いため、赤道に近くなるほど発射条件が良くなるんだそうです。…でも確か未だにマラリアかなにかの予防注射が必須の筈…体力ある方じゃないんだが。
アミアンの和約破れ敵となったフランスから命からがら脱出し、更に悪魔島に護送される政治犯の奪還が今回のラミジのミッションです。ドレフュス事件や映画「パピヨン」の絡みで、悪魔島は現在はがっつり観光地となっているそうですが、当時は文中にもあります通り流刑地でした。今検索してみたら6万人くらい送られて、生きて帰ったのは2万人程度とか。細菌学以前の時代ですし、衛生観念が未発達ということもあって、マラリアをはじめとする病気が凄まじかったらしい。
そういう所からどうやって…と思ったら、やっぱり演技力が物を言うのね。なんと今回、サウスウィクが斬り込みに参加しています。これがまた物凄く強い!両刃の大剣を嬉々としてぶん回し、ばったばったとなぎ倒す。御齢64歳ですよ航海長。カンテラを掲げて戦うエイトキンも格好良かったけど、おじーちゃんの迫力勝ちでした。すげえ。
ジルベールの考え方も、かなり新鮮でした。なにしろフランス革命事始は例に漏れずベルばらなので、王党派=旧守派=悪というイメージが染み付いている。挨拶まで反革命的行為なのか…極端ですが、ポル・ポトあたりまで思考が行き着いてしまった。自然に帰ったら礼儀まで無くなるわけ?ルソーを一度きちんと読んでみるべきか。
また今回登場のクリントン提督とベネット旗艦艦長の遣り取りがもう可笑しくて。ベネットさんのしれっとした言い草も面白いったらありゃしません。エイトキンパパとクリントンさん、ベネットさんの遣り取りも見てみたかった。…三竦みだったらどうしよう。

ブリバントさんについては何も言えません。酒はともかく逃げたくなる気分は判るので。

それにしても丁度この巻の頃、フランス-スペイン国境にかけてフローラが引きずり回されていたかと思うと非常に感慨深いものがあります。ニアミスコースを取っていたらネタにしたんだが。
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至誠堂刊。

ご本人の要望でもあることですしラミジをラミジ卿と呼ぶ気はありませんがこの巻のラストに限ってはラミジをらぶこめ男と呼んでやる。

読了後の感想。ジアナはなんて美しいんだろう。造作だけじゃなく、生きる姿勢そのものが。
自分が何者か、というのを知り尽くしているが故の選択が、悲しくも潔く、そしてとても美しい。過去にも何度か暗示されていました(多少の知識があれば疑問が涌く程度には)ので、まあこうなるだろうな、という展開ではあるのですが、それでも彼女の選択には衝撃を受けました。ここまで考えて…。ジアナの造形は最初ッから好きで好きでたまらないんですけど、駄目押しを受けた感じです。なんてお方だ。彼女なら仮にボルテラを包囲されて我が子を人質に取られたとしても、城壁の上でスカートをたくし上げて恫喝して、びびらせた隙に子供を奪回するくらい平気でやる。ええ絶対。

また今回、ブレージー伯爵夫妻が結構大きく出演なさっています。ぶっぱなし親父は前の巻では、「~じゃ」とじいさまっぽい喋り方だったんですが、この巻では普通の語尾です。訳者さんの違いでしょうけど、こっちの方がいいな、現役っぽくて。伯爵夫人がまたいかにもこの方の妻であの方の妹であの人の母親で、ちょっとおきゃんな所が非常に可愛い。旦那さん、齢食ってもべた惚れなんだろうなあ(笑)

あとあの、やはり触れておくべきでしょうか。カリプソ号艦長に六尺褌の存在を教えてやりたくてたまらなかったよ(旧日本海軍の公式下着は褌だ。マジで)。素直にブリーチで行きましょうよ艦長…。それにしてもこの時代の英国海軍の艦長のマッパはお約束か。一シリーズに一度は脱いでるだろうどいつもこいつも!(特にほれいしょ!あんたサービス過剰!)あとあのさんかくけいってえーっと。ははは。
サブタイトル「バルト海の猛き艦長」、ハヤカワ文庫NV刊。
図書館にリクエストし、他市から取り寄せて貰いました。最悪でも国会図書館にはあると判っていたので(オンライン検索って素晴らしい)、割と気楽に構えてはいましたが、早めに借りられて良かった。それにしてもなんであの時手放しちゃったんだろう…莫迦ばかバカ私の馬鹿。

二巻から引き続きの面子が健在で、殊にヤンキー副長のブルースターさん(私の知る限り最も悩みの無さそうな副長)の有能さと艦長への敬愛がことあるごとに描かれていて、読んでいてにやけ笑いが止まりませんでした。そしてセニット城の容赦の無い荒れっぷりももうなんというか。A&Mのジャックの貧乏は半ば自業自得だけど、オークショットの貧乏は不可抗力だからなあ。
今回の舞台はバルト海、大詰めはコペンハーゲン沖海戦です。この海戦を取り上げること自体が珍しい。英仏の周辺諸国がどういう状況だったのか斜めに穿っているような情勢説明が非常に興味深いです。霧深い北の海に暗躍する謎の隻眼の貴族、相対する英国海軍の艦長、謎の美女、舞台設定だけでもわくわくする。つか、ベアンシュトーフ伯爵がオークショットに「あなたが好きだからですよ――しかも、一目惚れですな」と言った時には心拍数がばっくりと(落ち着け)
このシリーズは本当に、図書館の閉架から引っ張り出してでも読む価値はあります。全三巻と短いですし、海洋小説に手を出したいけどA&MやHH、ラミジは長いからと躊躇っている方にこそお勧めです。是非是非!

ところでこのシリーズが全三巻で止まっているのは、第三巻のこの本が著者のチャロナー氏の遺作だからです。
使ったエピソードや話の引きから考えて、オークショットは長編として構想されていたのだと思います。きっとこの金銀妖瞳の艦長にトラファルガーで、想像もつかないようなとんでもないことをさせようとしてたんじゃないでしょうか。まあ二巻のアレだけでも相当なものでしたが。あれにゃ顎が落ちたさ。
新たな彼の活躍も、のちに海軍少将となり回顧録を書く彼の甥の成長も、ブルースターさんの帽子の羽飾りの増殖過程も(彼の伊達男振りにはA&Mの黒鳩卿も負ける…)見届けることが出来ないのは、とてもとても残念です。せめて残された物語だけでも、何度でも読み返し新鮮な楽しみを見つけることが出来たら。そう思います。
上下巻、至誠堂刊。
私は至誠堂と光人社と原書房に今年一年でいくら貢いだんだろう。

第二次大戦時、ドイツはUボートによって海上輸送を破壊し、英国を孤立させる作戦に出ました。英国海軍は輸送船団の護衛とUボート狩りにかなりの戦力を割いて対抗します。この話は、護衛艦隊のあるコルベット(途中からフリゲート)の乗組員たちの戦いの日々を描いた作品です。久々に重油臭い戦艦だ。上巻を読了したとき、脳内で大井参謀のリフレインが叫びまくってエンドレス。どことは言わんが海軍てえのは艦隊決戦だけじゃなくてなあ、だけじゃなくってなあぁああ!!(漢泣)
原書が刊行されたのが1951年というせいもあるでしょう、とにかく描写が生々しい。予備役編入久しい艦長に、速成教育の士官たち(彼らに比べれば戦闘天使ロード・ブレイクニーの方がよほど戦い方を知っています母さん)、海千山千から何も知らないガキまで各種取り揃えの100名足らずの水兵達が、急造された小さく不恰好で居住性最悪のコルベットに乗り組んで、姿の見えない敵やなによりも恐怖と戦っていくのです。軍人というより艦の部品に見える彼らは、それでもやはり人間で、友情や艦長への敬愛を心に温め、上官の虐待に心身を苛まれ、敵味方を問わずの死者たちに明日への虚無を募らせる。派手な海戦には参加しないもののだからこそ戦闘は日常に織り込まれ済みで、たまに休暇で帰宅した時にふと違和感に囚われる。「彼は海を愛していたが、それは盲目的にではなくて、むしろそれはすこしも信じていないくせに手を切る気になれない女に対する意地悪な、冷笑的な愛情に似ていた。」これは艦長の描写ですが、船乗りの海への感情は案外こういうものなのかも知れない。いやわかんないですけど。
笑ったのはアメリカの描写。英国本国のドックが一杯なので、修理の為にアメリカへ回航するエピソードがあるんですが、ここらへんに出てくるアメリカンがもう間違いなくアメリカンで、膝を叩いて大笑い。変わってない、変わってないよアメリカン!さすが駆逐艦までアイスクリーム製造機を取り付ける連中!グッ!
下巻巻末には写真などの資料も多く掲載されています。ことに護衛船団陣形図と船舶喪失状況一覧、ドイツ潜水艦要目一覧、Uボート建造・喪失状況グラフは欲しかった資料だけに重宝しました。

そして最後の一行。これがすべて、なんだろうなあ。
至誠堂刊。

カリプソ号のエイトキンさんは牛の乳搾りが出来る。
サプライズ号のプリングズくんも農家出身だから多分出来る。
……………ククク。(白昼夢大絶賛上映中)

原題「RAMEGE'S SIGNAL」とある通り、今回は信号が大きな鍵となっています。勿論、赤青黄のあれではなく、手旗信号やのろしなどの遠距離通信としての信号です。この作戦に「うわずっけっ」と叫んだのは私だけじゃないはずだ。いや正しいんだけどね、方法として。
阿川弘之先生の著作などを読むと、旧日本海軍では通信科は暗号なども職掌のうちだったのですが、かなり軽視されていたそうです(…わかる…)。ですがエニグマ・マシンや映画「ビューティフル・マインド」を出すまでもなく、連合軍側では最重要視されていたのだとか。根っこってやっぱりここらへんの時代にあるんだろうなあ。
それにしても、1巻からこちらのラミジの拿捕・撃沈艦数総スコアと拿捕賞金推定額を真剣に出してみたくなりました。一度の作戦の拿捕船回航のために、士官(特務及び候補生含む)全員が出払うってどういう状況よ一体。ラミジは「賞金代理人を慎重に選ぶ」とあったから、カリプソ号の面子は堅実に賞金を手にしてるだろうし、大体ラミジ自身は元々お金持ちだし、こんなに金に不自由の無い艦って見たことない。
あと、マーチンとオルシニの友情がとても可愛く爽やかです。造船所の息子とイタリア大貴族の後継者、生まれも育ちも違うのに、お互い認め合い、またライバルとして切磋琢磨していく二人のことは、カリプソ号年長組ならずとも応援してしまう。がんばれ若造、未来は君らのものだ。

で、今回最大の衝撃。ラミジには胸毛が生えているオルシニ報告しかも濃い。
MU・NA・GEですってよHろやんさん!(名指しかい)ああ胸毛の呪い再び。でもこの件を読んだとき真っ先に思ったのが「これでハーレク●ンの主人公を張る条件は揃ったな」ってのはここだけの秘密です。
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