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今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
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サブタイトル「バルト海の猛き艦長」、ハヤカワ文庫NV刊。
図書館にリクエストし、他市から取り寄せて貰いました。最悪でも国会図書館にはあると判っていたので(オンライン検索って素晴らしい)、割と気楽に構えてはいましたが、早めに借りられて良かった。それにしてもなんであの時手放しちゃったんだろう…莫迦ばかバカ私の馬鹿。

二巻から引き続きの面子が健在で、殊にヤンキー副長のブルースターさん(私の知る限り最も悩みの無さそうな副長)の有能さと艦長への敬愛がことあるごとに描かれていて、読んでいてにやけ笑いが止まりませんでした。そしてセニット城の容赦の無い荒れっぷりももうなんというか。A&Mのジャックの貧乏は半ば自業自得だけど、オークショットの貧乏は不可抗力だからなあ。
今回の舞台はバルト海、大詰めはコペンハーゲン沖海戦です。この海戦を取り上げること自体が珍しい。英仏の周辺諸国がどういう状況だったのか斜めに穿っているような情勢説明が非常に興味深いです。霧深い北の海に暗躍する謎の隻眼の貴族、相対する英国海軍の艦長、謎の美女、舞台設定だけでもわくわくする。つか、ベアンシュトーフ伯爵がオークショットに「あなたが好きだからですよ――しかも、一目惚れですな」と言った時には心拍数がばっくりと(落ち着け)
このシリーズは本当に、図書館の閉架から引っ張り出してでも読む価値はあります。全三巻と短いですし、海洋小説に手を出したいけどA&MやHH、ラミジは長いからと躊躇っている方にこそお勧めです。是非是非!

ところでこのシリーズが全三巻で止まっているのは、第三巻のこの本が著者のチャロナー氏の遺作だからです。
使ったエピソードや話の引きから考えて、オークショットは長編として構想されていたのだと思います。きっとこの金銀妖瞳の艦長にトラファルガーで、想像もつかないようなとんでもないことをさせようとしてたんじゃないでしょうか。まあ二巻のアレだけでも相当なものでしたが。あれにゃ顎が落ちたさ。
新たな彼の活躍も、のちに海軍少将となり回顧録を書く彼の甥の成長も、ブルースターさんの帽子の羽飾りの増殖過程も(彼の伊達男振りにはA&Mの黒鳩卿も負ける…)見届けることが出来ないのは、とてもとても残念です。せめて残された物語だけでも、何度でも読み返し新鮮な楽しみを見つけることが出来たら。そう思います。
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