忍者ブログ
今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

上下巻、至誠堂刊。
私は至誠堂と光人社と原書房に今年一年でいくら貢いだんだろう。

第二次大戦時、ドイツはUボートによって海上輸送を破壊し、英国を孤立させる作戦に出ました。英国海軍は輸送船団の護衛とUボート狩りにかなりの戦力を割いて対抗します。この話は、護衛艦隊のあるコルベット(途中からフリゲート)の乗組員たちの戦いの日々を描いた作品です。久々に重油臭い戦艦だ。上巻を読了したとき、脳内で大井参謀のリフレインが叫びまくってエンドレス。どことは言わんが海軍てえのは艦隊決戦だけじゃなくてなあ、だけじゃなくってなあぁああ!!(漢泣)
原書が刊行されたのが1951年というせいもあるでしょう、とにかく描写が生々しい。予備役編入久しい艦長に、速成教育の士官たち(彼らに比べれば戦闘天使ロード・ブレイクニーの方がよほど戦い方を知っています母さん)、海千山千から何も知らないガキまで各種取り揃えの100名足らずの水兵達が、急造された小さく不恰好で居住性最悪のコルベットに乗り組んで、姿の見えない敵やなによりも恐怖と戦っていくのです。軍人というより艦の部品に見える彼らは、それでもやはり人間で、友情や艦長への敬愛を心に温め、上官の虐待に心身を苛まれ、敵味方を問わずの死者たちに明日への虚無を募らせる。派手な海戦には参加しないもののだからこそ戦闘は日常に織り込まれ済みで、たまに休暇で帰宅した時にふと違和感に囚われる。「彼は海を愛していたが、それは盲目的にではなくて、むしろそれはすこしも信じていないくせに手を切る気になれない女に対する意地悪な、冷笑的な愛情に似ていた。」これは艦長の描写ですが、船乗りの海への感情は案外こういうものなのかも知れない。いやわかんないですけど。
笑ったのはアメリカの描写。英国本国のドックが一杯なので、修理の為にアメリカへ回航するエピソードがあるんですが、ここらへんに出てくるアメリカンがもう間違いなくアメリカンで、膝を叩いて大笑い。変わってない、変わってないよアメリカン!さすが駆逐艦までアイスクリーム製造機を取り付ける連中!グッ!
下巻巻末には写真などの資料も多く掲載されています。ことに護衛船団陣形図と船舶喪失状況一覧、ドイツ潜水艦要目一覧、Uボート建造・喪失状況グラフは欲しかった資料だけに重宝しました。

そして最後の一行。これがすべて、なんだろうなあ。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
最新コメント
[04/29 秋津]
[04/28 まっくろ]
[10/23 秋津]
[10/22 サキク]
[09/26 秋津]
トラックバック
書いている人
秋津
間抜けなのんき者の割りに短気なミリヲタと歴史ヲタの入った腐女子
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]