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今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
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NHK出版 生活人新書刊。

先日、Hろやんさんに色々と遊んで頂きました。二人でイ●アで販売されているぬいぐるみにツッコミを入れたり、楽しいひとときでした。ありがとうまた遊ぼうね!目細の親分は格好いいですよ絶対に!
で、途中で輸入家具店でエッグチェアやスワンチェアやYチェアに二人して座ってぐでーっとしていたという。立てなくなって困るわあれ。

さて今回の本。サブタイトルは「ムーミンとモダニズム」です。チョイスについては生温く流してくだされフレンズ。や、何かにハマるとセンサーのスイッチ入って読む本が偏ってくるですよ…。トキムネや英国海洋小説や帝国海軍の時だってそーだったじゃん…ねえ?(ねえって何が)
カラー口絵にはまずターコイズのアントチェア、マリメッコのテキスタイルにラディソンSASコペンハーゲンのスイート、ストックホルムのマックカフェ(マックには絶対に見えない格好良すぎて)、ハッリ・コスキネンのキャンドルスタンド、と、定番が列挙されています。
気候が厳しい、資源に乏しい(スウェーデン鋼といったら日本の安来鋼と評価を二分する高品質の鋼材ですが、鉄自体の産出量は数字を見る限り決して多くは無いと思う)、農耕をベースとしながらも生産量は絶対的に少ない(ノルウェーの耕作可能面積は国土全体の10%を割るそうです。氷島に至っては穀物自給率0)という、北の貧しい国々からどうやって美しく機能的な製品の数々が生まれ、と同時に、「豊かで質の高い生活」が作られていったか。というのをデザインに特化して分析していっています。
単純であること。コンセプトが明確であること。恒久的であること。使いやすいこと。作り続けること。
非常にわかりやすい、かつ普遍的なポリシーに貫かれているがゆえに、古くはならない。また作り続け、常に「現行商品」で補充もアレンジも自在であるがゆえに、どんなシーンに置いてもすっと溶け込む。これは何である、というのが明らかなので直感的に使える、なので使用者の年齢層を選ばない。しかし固陋に陥ることなく常に新たな刺激、時には異業種からのアプローチも取り入れてより良い方向を探る。言われてみればごくごく当たり前なのに、驚かされるということは私の身の回りのものがそうじゃない、ってことなんだよな…。
例として、私はかなり物持ちが良いほうで、幼稚園児の頃に買って貰ったはさみを今でも使っているのですが、もしこのはさみが無くなって同じものを買おうとしても無理です。だってもう10年以上も前に廃盤になったから。
極端に言えばめりか的「沢山作って沢山買い換えよう」な消費活動のアンチテーゼ、作り続け使い続けるために、長く使ってもらえる良質な製品を長く作り続ける。この姿勢と、現在の北欧諸国の生活の姿勢が同一基盤にあるのではないか。とこの本では論じています。そこには安定した、生活のストレスが少ないという点において正しく贅沢なライフスタイルが築かれている、と。単純な北欧デザインマンセー!にはなりたくないですが、確かに惹かれる考え方です。
ちなみに別の本で読んだのですが、少子化が進みつつも北欧諸国のバカ高い税収は殆ど目減りしていないらしい。何故なら基礎教育そのものや職業訓練等々で個々の教育水準、更には就業率の底上げを図り(勿論、障害者といった人々も含まれる)、全体としての納税額の維持に成功しているから。まあ失業率も大きな問題だそうですけど(働かなくても食えるので)。少数精鋭に方向を転換した、と見て良いのかな。単純に産めよ増やせよで補助金でごまかすよりはよほど現実に即した考え方だと思うのだけれど。
この少数化対策にもデザインの方向性にも、一貫したもの、それも通しで見るとかなりシビアな分析が根底に流れているような気が、読んでいてしました。ってちょっと斜めにかっこつけた穿った意見かな、という自覚はある。前書きにあるように取っ掛かり本として、北欧デザインともてはやされるもののベースにあるのは何か、というのを知るのに、また読み物としても面白い本だと思います。


ところで別件。夕刊の記事にあった話。かの国がまた新たなる伝説に挑んでいます。
 ttp://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2268091/2025385
実は公式サイトの中継を聴きながらこの文を打っています。交代時のぺんぽーんというチャイムが妙に脳に残って困ります。出る人出る人みんなノリノリだし。世界選手権の数々といいほんっと侮れねぇ…大好きだこの国。
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河出書房新社刊。

夏に続き、冬の埋め立て地も1日目はどうやったって不参加と相成りました。つか、休みが今年から30日始まりって聞いてねえ。この冬の狩場はときゅとおお振りと小説FCと歴史と文芸とオリジナル。半分は諦めねばならんのか…。納会は何としても逃げ了せてくれるわ。


さて書くと予告してやっと書けますこの本の感想。書評の感想って難しい。割と集中して考えた、と思う。Hろやんさま、俺はやったぜ。(私信)
新聞連載時から単行本化を待っていました。いやー纏めて読みたかったのよ。連載時の津野裕子氏のカットが収録されていないのがちょっと残念、しかしそれを差し引いても、凝った装幀は古き良き図書室を思わせる可愛らしさです。
この「それいゆ」で紹介されそうな(今ならゴスロリ誌に載っちゃうんだろうか。ある方面では対極だと思うんだが)装幀を取っ掛かりに、「志は高く心は狭い文科系小娘のための」本が紹介されています。だからといって吉屋信子や森茉莉、佐々木丸美等々のみが延々と出て来る訳ではない。足場を固めた上での選択は時にハードかつドライ、まさに少女のように潔癖な視点が貫かれ、私のようなヌルい読み手は圧倒されるばかりです。にしても、必須と評されつつも未読の本の多いこと。この世の本棚はなんて大きいったらないんだろう。
でありながら、読み進めるうちに言い知れぬ恥ずかしさを覚えるのは、てめえのイタい行状の数々がざかざかと掘り返されるから。ああそうだよ、このくそ厚かましく自意識ばかりが肥大した周りはみんなバカばっかしという根拠の無い優越と表裏一体のコンプレックスは佃煮にする程身に覚えがあるよ畜生。俺のものにならないなら殺すもあなたは私の血と肉になるのも透明な絶望も二人だけの世界も汚れた大人も慣れ親しんだ世界さ先生怒らないからはい顔を伏せて手を挙げてー。
…これこそが少女、かも知れません(今ならイタい同人か)(天に唾ー…)。ともすれば薄暗がりの甘い部屋へと逃れがちな選書でありながら、千野氏の視点が明らかに一線を画すのは、自分で選ぶこと、そして選ぶという行為に優越も卑屈も抱くことなく自らを律すること、を強く主張しているが故ではないかと。その結果を「本に選ばれる」という言葉に集約しているように私には読めました。他者と折り合いをつけるのが苦手な私(女子と一般化して論じるのは、それこそ千野氏の主張の読み違えだろう)にとって盾にも武器にもなり得る文章の数々。だがそれに頼りきり、溺れてはならない。何故なら主体は常に私であり、盾と武器を必要とする私の中の少女が、盾や武器を本来の本として扱い、一人で世界に対するように成長させ得るのは私しかいないのですから。そう、大人は解ってくれないからって盗んだバイクを乗り回したらそれは窃盗だ。いい年して何青いこと書いているのかっていいじゃん太古の昔は処女と書いてをとめだったんだから!どうでもいいんですが紹介されている吉屋信子の「屋根裏の二處女」に、秋津さんという登場人物が出てきて思わず斜めった。無論好きな作家ではあるんだがいきなりこーなんつーか
ただ、ちょっとした罠も張ってあるように感じます。この本で紹介される図書を全て読むことに「特別である自分」を認め、優越を覚えるというありがちな落とし穴です。「自らの意思で」紹介された全ての、もしくは合いそうな本を選び読み、更に本棚を拡げていく。ここに他者の介在する余地と、たかがこの程度のことで優越に浸るほどのヌルさは、誇り高き小娘には存在し得ない筈。この本が案内人であると同時に単なる道具であり、また時に批評と批判の対象であるという認識をしっかりと持たないと、少々危険やも知れぬ、とも思います。
具体的な選書の数々は先に書きましたが、文学少女の必須教養からおじさんたちの裏名著に至るまで実に幅広い。犀星の「蜜のあはれ」が出てくる辺りがなんとも(わたしゃこれエロ小説に分類してたんだが)。千野氏は現在、新聞にて続編「文藝ガーリッシュ お嬢さんの第二の本棚」を連載中ですが、今度は翻訳洋書の率が高くなっています。この本では和書ばかりですから、リターンマッチというところでしょうか。早く単行本化してくれ、まとめて通読したい。
もし本好きを自認するならば現役退役脳内乙女は勿論のこと、殿方(少年とは言わん)にも、この書評集をお勧めしたいです。過去に学校の課題図書のラインナップに遣り切れなさを感じた経験のある方ならば、なおさら。

ところで56頁、韋駄天お正へのツッコミは拳を床にがすがす打ち付けて激しく同意。非常に秀逸かつ卓見、ここだけでも必読。
鷲見洋一訳、新潮社刊。
どうも香料づいているので図書館から借りてきて再読。初読は中学の頃だっけか。
キャロン社様から手を引いていたと知った時の絶望は忘れんぞカ●ボウ。

欧州に於ける香水・香料についてのトリビア本です。嗅覚とは、また香水とはなんぞやの文化論から始まって、香料の歴史、調香師(「ネ」と呼ぶべきか)名香列伝、流通論と、読めば香水についての一通りが判ったような気分になれます。この「ような気分」というのが曲者で、今読むとトリビアと見せ掛けて著者のアノトー氏がひたすら香りについて語っているだけのような気がしてならん。面白いけど。
一頁ごとに入る棘と皮肉は民族性か著者個人の資質か。褒めるにしたって様々なテクニックがあると思い知らされるレトリック。盲目的ではなく、むしろ突き放し解剖し分解し、冷徹に分析してそれでもなお愛していると言い切るような言葉の連なりが快感です。似てるな、と思ったのは「月下の一群」。同じ仏文という訳じゃなかろうけど、言い回しがちょっと似ている気がする。これは翻訳の勝利でもあるな。でありながら、しっかりと薀蓄してるのもまた凄い。第二帝政のブルジョワジーの台頭について、これほど判りやすくまた初心者向けに詳しい記述を、私は知りません。同様に、天然香料と人工香料の生成方法、その用途と目的と機能の相違性と類似性について納得させられたのも、この本だけです。また端々の挿話の楽しくほろ苦いいこと。「文章の四つ辻で、香りがひとすじでもあなたのところまで届いてくれればしめたものだ。」お陰様でジョイは混沌と狂乱と半ば自棄気味での自尊心とおふらんすっつーより30年代お気楽ぶるじょわアメリケンが頭を過ぎる香りです。私にとってはね。
なお、フランソワーズ・サガン(セシルカットがただのスポーツ刈りになるワタシ)が著者として名を連ねていますが、彼女は主著に合いの手を入れる程度。尤も、短いながらも流石の存在感は、共著と称するに足ります。
そんな訳で薀蓄としても文芸としてもエッセイとしてもお勧め。って多分絶版ですがF**K。香水がお好きな方、愛用の香水をお持ちの方は、是非とも図書館で探してみて下さい。いい感じに酔えます。


ついでに狙ったように香水バトンが回ってきたので回答。
ner_01.jpg本日の衝動買い。
だってロク●タン好きだし!ポイント溜まってたし!財布ん中に余裕あったし!前から欲しかったし!
判る方は声高らかにせせら笑ってください。最近、新規はシングルノートしか買ってねーなー。夜間飛行と沙棗とギャルソン緑汁は馬鹿みたいにリピートしてるんだけど。

夢見がちな10代の頃、調香師になりたかった時期がありました。尤もあまりの現実性の無さに早々に断念していますが。思春期なんてそんなもんだろうアッハッハ!(…ヤキ回ったかな私も…)
きっかけはやはり本でして、香水、というか香料か香道関係の本を図書館から借りたのが最初だと思います。それがどういう紆余曲折を経て調香師に行き着いたのかは、如何せん昔のことなので記憶が曖昧。
ただ、この辺りから文中に匂いに関する記述が出てくると、頭に残るようになりました。ミルと言えば山田詠美を連想しますし、荷葉香はなんて素敵にジャパネスク、薔薇の香りは森茉莉でひとつ。夜間飛行は言わずもがな。歴史ネタで印象深いのはエリザベス一世です。砲弾に香水まぶして喜んでたってアホでいい話だわー。あとはあれだ、土曜日の実験室。学生の頃、ラベンダーの茂みに頭を突っ込んでシンナーみたいに匂いを嗅いでた奴が知り合いにいます。
調香師そのものというとやはりこの話が真っ先に思い浮かびます。体臭を持たない男が創り出す完全なる香。完全無欠ってのは却って魔を呼び込むそうで、だとすると成り立ちのみならず存在そのものが異界の香りか。漫画で言うなら私的にはまずこれですが、今読んでもすげーなこの話。殊にさえこさまの造形は他の追随を許さん素晴らしさ。原作者様ってば狼の巣を描いただけのことはある。…芳香と醜顔には何か関連性があるんだろうか。いや意外性の追求?
今でもエッセンシャルオイルを使って、お遊び程度に調香の真似事をします。楽しいですよオママゴト(もしくは死神博士ごっこ)。イランイランを嗅ぐと本当にすこんと熟睡出来るし、ユーカリは鼻炎に即効だし、ラベンダーは半ば万能薬扱いだし。ネロリオイルは買えないけどな、3mlで5,000円越えるんで。
ネロリオイルを買える日が来たら革手袋も新調しよう…。
日経PB出版センター刊。

04年11月9日「デュエルアイランド」で言っていた英国についてのなんでも辞典がこれです。年をまたがりやっと購入。知ること自体が面白いと思える本です。元ネタは著者さんがクリスマスカードを贈る際、おまけにつけたまめちしきだそうで。なんだかいいなあ。要するにトリビア本なんですが、こういうの大好きさ。ザ・ワルチンブックとかね。資料にもなりそうで買ってよかったです。英国三軍の階級対比には思わず声を上げて喜んでしまった。さあ映画カリブの海賊の海苔んとんさんの階級について突っ込めエブリバディ。初見の際、日本海軍萌えの友人と「海軍のキャプテンは大尉じゃねぇえええ!」と叫びましたともさ、ええ。
問題のアイルランドの決闘作法についてですが、80ページに載っています。1777年、クロンメル夏期議会において制定。手続きが結構煩雑なのは、頭を冷やすのを期待しているんじゃないでしょうか。にも関わらず、フィクションとはいえ一年で12回もやった人を知っているような気がするんですけど私。なお「あまねく王国の紳士達はピストルケースの中にこの写しをしまっておくよう勧告された」。よって「知らなかったという申し立ては認められない」。奴らは本気だ。
そんなこんなの雑学が沢山、中には日本の相撲ルールのような一体どこが英国博覧記かというネタもあります。読み物としても小ネタとしても、ちょっとお勧めです。

それにしてもマスコマの艦長主催のディナーですが、あれは土曜日だったんでしょうか。69ページ「海軍の乾杯」参照。
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