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ブリア・サヴァランの「美味礼賛」は、一種の哲学書だと思う。しかし薀蓄たれの割りに描写が旨そうだよなこの本も。
埋立地の夏の舞踏会が終わりました。ご参加の皆様方、お疲れ様でした。
私は初日は仕事で欠席、二日目は友人の売り子、三日目は法事で欠席でした。スカートの中と胸元に保冷材を仕込み、終わったら従弟妹連中10人ほどと喪服姿で31へアイスを食いに行く(平均年齢:20代後半)、そんな三回忌。
毎度の如く夏冬コミのアフターではネタが発生致します。
今回のアフター会場は四谷の某フレンチ。具体的にどんな店かってのはこの本に掲載されています。あーもうこれに紹介されたお店には全部行きたい。お陰様でピエールん家には幾ら貢いだことか…至福の美味だから悔いは無いがな!
で、私ども、予約時に前菜、魚、肉の3品のコースをお願いしていました。ですがメニューの説明を聞いてあっさり前菜2品の4品のコースに変更。まあ想定内ですが。アミューズとデザートも付くから実質7品です。ええ、4人でしっかり完食して参りました。
お値段は要覚悟、サービス料も別途。「ちょっと良いところの飲み二回分」ってとこです。でも私ら絶対値段以上の飲み食いしてる。決して繊細ではないのですが、素材の旨味をがっと鷲掴みしてぎりぎりの濃厚な味付けを施す、という風で、すっごく旨い。濃い味派だから余計に嬉しい。前評判通りかなりしっかりした量で、その分お腹を減らして行かねばならないんですが、だからこそしっかり食った!という満足感に繋がる訳です。前菜の海胆のコンソメゼリー寄せで感動の余り欠片も残さずかっ食らい、それがデザートまで続きました。大体、フォアグラを塊で食ったのは初めてです。塩で締めたフォアグラと、マディラとポルトの甘酸っぱいゼリーソースとレーズンの組み合わせがほんと絶妙。メニューの説明をされた時にはイメージが沸かなかったんですが(とシェフに言ったら「イメージは初恋です(笑)」と。そら私には想像出来んわ)、うーこんなに美味しいものだったなんて。しかもこれ前菜ってのがもう堪らん。友人の前の肉料理の皿を見たお店の方に「ソースまで(パンで)拭って食べて頂いて…」と喜んで頂いていましたが済みません拭うまで食って更に食いきれないというその友人の肉も皿取っ替えて片付けたの私です。だって肉汁とマッシュポテトの混じったソースが勿体無かったんだもん。デザートのクリームブリュレまで幸せの味がしました。踊りたいけど踊れないジレンマを久々に味わいましたとも。
同道はいつもの食魔メイツ関東組、好き嫌いはあるもののかなりの量をこなせる(同一条件なら多分私が一番小食)(ツッコミは無しの方向でひとつ)上に、食卓とネタに関しては容赦無い面子のため、会話もなにも弾む弾む。話題をお互いに時々牽制しながら(萌えバナは流石にまずかろうよ…)、非常に楽しいひとときを過ごしました。だって1800に入店して店出たの2100過ぎ…どれだけ根っこ生やしていたのかと。気軽に行ける店じゃないけど、また行きたい。イベント後だから金銭感覚がはっちゃけてたってものありますが。ネットで見る限り評価は賛否両論ですけれど、私たちには大満足のお店でした。あー美味しかった。次行ったら羊ね。
そんでさ、デザートの時にお店の方とちょっとお話したんですが。
「皆様、しっかりお食べになるようでしたから」
手加減せずにがっと量を出したと。読まれてるし。
まあアミューズをつまみながらあれだけ食う話してたしね。所詮は餓鬼の群だしね…。
財政的にやっとこ余裕が出来たんで、某手芸店へ行きました。獲物は某海外メーカーのクロスステッチキット、ミュシャの「ビザンチンヘッド(ブルネット)」です。
さくっと売り切れてやがりました。
そんな。先週はまだあったのに。高いから思い切るのに半年以上掛けたのに。しかも輸入品だから次回入荷は未定なのに。つかネットで調べてもどこも在庫ナシってあああああああああああ。
また狩りそこねちゃったよう…いいんだ作り切れるかわかんないし…ミュシャ…………。
で、そんな傷心を抱えつつ、再読したのが本日の一冊。
エリゼ宮の食卓 (新潮文庫刊/西川 恵)
サブタイトル「その饗宴と美食外交」。美食外交ですよ奥さん。エリゼ宮は言わずと知れたフランス共和国大統領官邸、ここで供される饗宴に込められたメッセージと現代のフランス外交姿勢を読み解いていく、という一冊です。
いやまったく、55分という凝縮された時間の中に(この時間を決めたのはド・ゴールらしいそう。あー有り得るわー)、本当にフランスの意地と誇りが凝縮されているんだな、と。私は鉄板下戸なせいもあってワインの格付けなんてぜんっぜん知りませんし、薀蓄を聞いたり読んだりするたびに「飲んで美味しくてメシに合ってればいんじゃね?」などと思ってしまうのですが(これは食い物全般について、ですな…)、ワインを単なる添え物の飲料ではなく食材としての一要素と考えると納得が行く、気がします。だったら来賓の重要度とか将来性とか機嫌損ねたらやヴぁい度とかで、気合の入り具合が変わるのは当然だ。だって好きな人には美味しく食べてもらいたいし、気になる人には俺はちょっと出来るんだぜってのを見せたいじゃん。
通読してみて思ったのは、とても鋭敏なバランス感覚の上で構築された饗宴の数々も、結局は上記のようなごくシンプルな感情が動機になっているんだな、ということです。勿論、この感情は国家間レベル=国益に直結しますから、迂闊な真似は出来ないんですが、逆に言うとあそことかあそこの国に対してさえ、あの伝説の京都ぶぶ漬け攻撃をもワインに託して出来るということ。55分間のナイフとフォークとワイングラスの外交、洗練の極致である一方で非常にプリミティブな感情の発露の場でもある。この辺りを読み解く過程がとても面白かったです。また例に挙げられているのがフランスと特に関係の深い(T山さん曰く「トムジェリ」の)英国や(T山さん曰く「まだトムジェリって言うには仁義無き関係かしらね」な)ドイツ、中国、ロシア、アメリカ、日本、ラトビア(たまたま取材時に国賓がいらしていたそうで)というラインナップで、こうして当時の情勢と照らし合わせた上で各国間の待遇を比較されると、とても(いろいろな意味で)興味深いです。(そーいえば申誇示(仮)さん、アルコールをあまり嗜まない人だそうで…どーなっちゃうんだろ。)
また、薀蓄本としてもすごく楽しい。実際の饗宴、ことに国賓の接待のプロトコルを順を追って解説してくれるんですが、なんつったって国の威信が懸かっている以上、ある種の芸術の域にまで達しています。テーブルクロスの裾から床までの長さをミリ単位で計測とか銀器やテーブルクロスの管理は文化省の出張職員とか、つか国宝に料理盛って宴会に出すなんて有り得ねえ。国宝のテーブルクロスて…染み落ちなかったらどーすんのよ!芸術大国の心意気を見たね!
食べ物薀蓄と外交解説、フランスの文化に対する姿勢の解説書、と、一冊で何度も美味しい本です。うー何度読んでも楽しいわ。食べるのが好きな方、また某所の仏兄ちゃんを愛する方には是非ご一読をお勧めしたいです。
と、ここまで書き終わるまでのBGMは日本秘密結社(仮)すぺさる「映像の世紀」サントラでした。「パリは燃えているか」は何度聴いても泣ける。DVD-BOX欲しいよう…。
飛鳥さん(夏おめでとう!)よりお菓子バトンを頂きました。
んで、私が絶対食ってそうな菓子=濡れ煎餅だそうで。おう食ってるぜ。お茶請けヒエラルキーでと●やの羊羹と同位に位置する銘菓と信じてやみません。レンジで5秒あっためるとモアベターよ。買うときは半分カンパのつもりで気合入れて買います。