[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一次妄想ですが、紙端国体劇場様の鉄道擬人化ありきの妄想です。
御用のない方はスルーを推奨致します。
ついったさんのほうで「ソファーに寝転びながらこちらを見上げる習志野」というお題を振り出しました。そんなわけで書いてみたよの演習線。タイトルは考えていないです、実は。
なお1.5次用に、「混ぜるな危険」カテゴリを追加しました。昨日の設定集もこちらのカテゴリに突っ込んでおきます。
扉を開けたら靴底だけが見えた。
「寝てんのか」
腕がにゅっと垂直に伸びて、手首だけが翻った。腹の上に書類を開いた習志野の傍らに立ち、松戸はソファの脚を思い切り蹴飛ばした。みっしり詰め物が詰まった上に成人男性を乗せた椅子はびくともせず、習志野は寝そべったまま松戸を見上げてずるりと笑った。
「お疲れさん」
「起きたらどうだ」
「面倒臭ぇ」
松戸は持参した書類の束を習志野の顔にはたきつけた。椅子を引き寄せて逆さに座り、書類を捲る習志野の目が徐々に細まっていくのを眺める。
「候補生を増員か」
「資材の搬入が増える。あんたの所にも置かせて貰うかもしれん」
「空けておこう。こっちはこともなしだ」
「請負も無しか」
「今期は無いな」
そうなると、演習は自線内で行われることになる。敷設して、剥がして、爆破して、敷設して、撤去して、妨害して、敷設して。短い区間をうねうねと葛折りに折り曲げて、敷設のために敷設する。そのための自分たちだと分かってはいるものの、たまに無性に羨ましくなる。
「外地に行くかも知れん」
不意に習志野が言った。
「あんたが?」
「隊が。教導か請負か実戦か知らんが」
「俺たちもか」
「さあなあ。総武たちなら動きようもないだろうが」
まるでひとごとの言い種だった。緊張が高まりつつあるいま、部隊の移動は珍しい話ではなく、鉄道連隊も例外ではない。ただ、敷かれた鉄路に拠る鉄道省下の鉄道と異なり、軍に完全に付随する自分たちはどうなるのだろう。他に同種がいないだけに、松戸は答えを心底求めた。
だが求めた相手もやはり答えを持たず、横目で松戸を流し見るだけだった。
「なるようになるだろうよ」
「…まあ、そうだろうな」
「ヒトのことなんざ知るか」
ハッと一声だけ笑って、習志野は書類の束を松戸の鼻先に突き返した。受け取った松戸は背もたれに上体を乗せたまま、角を折ったページを丹念に読み返し、赤鉛筆で注記を入れていく。その彼の目の前で指が踊った。
「煙草」
「なら起きろ」
「面倒臭ぇ」
「子供らが真似するぞ」
「そりゃ困る」
習志野が腹筋だけで上体を起こすと、書類が床に流れ落ちた。顔をしかめる習志野をよそに、松戸は立ち上がって背を向けた。
*************
このふたりでやらないかな展開も考えはしたんですが、どうシミュレートしてもタチネコどっちでもすっきり煙草スッパーなおっさんと、どつぼに嵌って穴の底に穴を掘る青年という松戸が不憫極まりない構図しか出ませんでした。おっさんがひどすぎるのか。