今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
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唐突に降りてきました。
ヘタでプーです。推敲ナシ一発書き、ネタがネタのため折りたたみの上で反転、ヘタをご存知無い方、あー…という方はスルーして頂ければ幸いです。また、当然ながらUSO800認定品につき、お読み下さいました方にもさらっと流して頂ければ幸いです。
続きも考えてはいますが書くかは不明。書くとしたら多分改題します。
ヘタでプーです。推敲ナシ一発書き、ネタがネタのため折りたたみの上で反転、ヘタをご存知無い方、あー…という方はスルーして頂ければ幸いです。また、当然ながらUSO800認定品につき、お読み下さいました方にもさらっと流して頂ければ幸いです。
続きも考えてはいますが書くかは不明。書くとしたら多分改題します。
「国民が逃げ出すような国にしたのは、あなたたち自身じゃないの」
ハンガリーが言い放つと、大きなデスクを前にふんぞり返った男のこめかみに、青筋がめりめりと盛り上がった。優雅に紅茶を飲み干して、彼女はするりと立ち上がった。
デスクの傍らに佇立したまま、プロイセンはハンガリーの背に言った。
「トルテっつっといてくれ。言えば通る」
「わかったわ。…あとで、またね」
いつでも何があろうとも、どうしてこの女はこんなに綺麗なんだろう。肩に掛かる髪をさらりと払い、プロイセンに少し笑って、ハンガリーはオフィスを後にした。
遠ざかる靴音に我に返ったらしい。男は立ち上がり大きく口を開けた。だが叫びが形を成す寸前に、襟首を掴んだプロイセンの手で椅子に戻された。電話に手を伸ばしたがそれも遅かった。奪おうと泳ぐ手をひょいひょいとかわしながら、プロイセンはデスクに腰掛けて男に背を向けた。―― 党の政治委員となって以来、こんな屈辱を受けた試しがあるだろうか。この優男が如何にそういう存在とはいえ、モスクワの覚えも目出度いこの私が!
「あーもしもし?ザクセン頼む。…なんだお前か。プロイセンだ。トリガ行ったぞ。おう、基本路線でいけるだろ。大筋さえぶれなきゃ ―― え?ああ…ああいい、それでいい。うん」
「な ――」
「発砲はナシな、馬ッ鹿お前じゃなきゃ言わねえよ。うん。うん。んじゃこっちも配置につくわ。おー了解、10ネガティブで」
漏れ聞こえる会話に男の顎が馬鹿のように落ちてゆき、しまいには戯画のような面相になった。プロイセンはケセセと笑いながらデスクから降りて電話を置いた。
「じゃ、宜しくー」
ちん、と受話器を置く音がやけに大きく響いた。二、三度顎を震わせてから、男が吠えた。
「何を企んでいるのだ!」
「人聞きの悪い。嫌んなっただけだ」
顔にかかった唾をハンカチで必要以上に丁寧に拭い取りながら、プロイセンは言った。乗り出す肩をとんと突くと、男はあっさりと ―― へたり込むように革張りの椅子に納まった。
「俺はロシアが大嫌いだし、ラーゲリもルビャンカも忘れてやる気は無いけどな、世の中どっかで帳尻が合うように出来てんだ。回り持ちだってのも知ってんだよ。だがな」
プロイセンは唇の両端を吊り上げた。三日月の形に大きく切り取られた口の奥は、底の見えない井戸だった。音を立てて、男は椅子ごと後退った。酷く優しい声でプロイセンは言葉を続ける。実際、とても優しい気分だった。屠殺寸前の子牛や片翼を撃ち抜かれた野鳥に対するものだとしても、優しさは優しさだ。
「尻馬に乗るのはあんましウツクシくねえよなあ、同志」
「お前の命にも関わるのだぞ、分かっているのか!」
「根拠は?」
返事に男は絶句する。弟が生まれ成人しても、負けて解体されて名を摩り替えられても彼が立っていることを、この期に及んでやっと思い至ったらしかった。いっそ可愛いとさえプロイセンは思った。馬鹿すぎて可愛くて吐き気がする。こんな連中が俺たちを、俺の同胞たちを取り仕切っていたのだから、なんていい国なんだろう。俺という国 ―― 民主共和国という国は。
「言葉ってのは正確かつ厳密に使うもんだ、若造」
そうして置いた手に力を込めて、プロイセンは電話機を押し潰した。
お電話プーは脳内では三●屋さん口調でした。
ハンガリーが言い放つと、大きなデスクを前にふんぞり返った男のこめかみに、青筋がめりめりと盛り上がった。優雅に紅茶を飲み干して、彼女はするりと立ち上がった。
デスクの傍らに佇立したまま、プロイセンはハンガリーの背に言った。
「トルテっつっといてくれ。言えば通る」
「わかったわ。…あとで、またね」
いつでも何があろうとも、どうしてこの女はこんなに綺麗なんだろう。肩に掛かる髪をさらりと払い、プロイセンに少し笑って、ハンガリーはオフィスを後にした。
遠ざかる靴音に我に返ったらしい。男は立ち上がり大きく口を開けた。だが叫びが形を成す寸前に、襟首を掴んだプロイセンの手で椅子に戻された。電話に手を伸ばしたがそれも遅かった。奪おうと泳ぐ手をひょいひょいとかわしながら、プロイセンはデスクに腰掛けて男に背を向けた。―― 党の政治委員となって以来、こんな屈辱を受けた試しがあるだろうか。この優男が如何にそういう存在とはいえ、モスクワの覚えも目出度いこの私が!
「あーもしもし?ザクセン頼む。…なんだお前か。プロイセンだ。トリガ行ったぞ。おう、基本路線でいけるだろ。大筋さえぶれなきゃ ―― え?ああ…ああいい、それでいい。うん」
「な ――」
「発砲はナシな、馬ッ鹿お前じゃなきゃ言わねえよ。うん。うん。んじゃこっちも配置につくわ。おー了解、10ネガティブで」
漏れ聞こえる会話に男の顎が馬鹿のように落ちてゆき、しまいには戯画のような面相になった。プロイセンはケセセと笑いながらデスクから降りて電話を置いた。
「じゃ、宜しくー」
ちん、と受話器を置く音がやけに大きく響いた。二、三度顎を震わせてから、男が吠えた。
「何を企んでいるのだ!」
「人聞きの悪い。嫌んなっただけだ」
顔にかかった唾をハンカチで必要以上に丁寧に拭い取りながら、プロイセンは言った。乗り出す肩をとんと突くと、男はあっさりと ―― へたり込むように革張りの椅子に納まった。
「俺はロシアが大嫌いだし、ラーゲリもルビャンカも忘れてやる気は無いけどな、世の中どっかで帳尻が合うように出来てんだ。回り持ちだってのも知ってんだよ。だがな」
プロイセンは唇の両端を吊り上げた。三日月の形に大きく切り取られた口の奥は、底の見えない井戸だった。音を立てて、男は椅子ごと後退った。酷く優しい声でプロイセンは言葉を続ける。実際、とても優しい気分だった。屠殺寸前の子牛や片翼を撃ち抜かれた野鳥に対するものだとしても、優しさは優しさだ。
「尻馬に乗るのはあんましウツクシくねえよなあ、同志」
「お前の命にも関わるのだぞ、分かっているのか!」
「根拠は?」
返事に男は絶句する。弟が生まれ成人しても、負けて解体されて名を摩り替えられても彼が立っていることを、この期に及んでやっと思い至ったらしかった。いっそ可愛いとさえプロイセンは思った。馬鹿すぎて可愛くて吐き気がする。こんな連中が俺たちを、俺の同胞たちを取り仕切っていたのだから、なんていい国なんだろう。俺という国 ―― 民主共和国という国は。
「言葉ってのは正確かつ厳密に使うもんだ、若造」
そうして置いた手に力を込めて、プロイセンは電話機を押し潰した。
お電話プーは脳内では三●屋さん口調でした。
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