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今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
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上下巻、新潮文庫刊。

自室にはヒンデンブルク炎上の映像があります。日本秘密結社(仮)スペシャルの「映像の世紀」を録画したものです。これを読んでから、34インチ画面で再生してみました。
まさにのたうつ巨竜。

高所恐怖症の気がありますものでヘリに乗れません。東京駅の総武線ホームへ降りる時、下を見られません。京都駅ビルは敵です。以下エンドレス。
ですが飛行機は嫌いじゃない。むしろ好き。そりゃ戦闘機の後部座席に乗ってアクロを体験しろと言われたら泣いて拒否しますが、普通の旅客機(セスナ等含む)は平気です。通路側座席を選びますが。足元がおぼつかないのと、放り出されるような宙吊り感が嫌なんだと思います。飛行船はどうなんだろう。
タイトル通りヒンデンブルク(と、ツェッペリン型硬飛行船)が空を席巻し、消えていった過程を描き出しています。そして二重三重もの安全策を取られていたヒンデンブルクはどうしてあの時、無様に焼け落ちていったのか。以前にやはりテレビで特集されていたのですが、そのときも疑問には思いました。素人目で見ると、浮遊材が水素(この時点で駄目か…)という以外に、いやだからこそ完成度の高い危機管理体制を敷いていながら、何故と。
物理的人的な解説もさりながら、この作品では社会そして人間というものに大きく絡めて、その謎を解きほぐしていっています。ああでもその前にこの本はルポなんだろうか。ドイツ系の作品によく見られる気がするんだけど、膨大な記録に人間を織り交ぜて、幾重にも虚実の重なった展開なもので判断がつかない。人間の記録か事故のルポかと問われれば、やはり人間の記録だろうと思います。話が逸れました。
結論として、文中では「ヒンデンブルクが墜ちたのはこのせいだ!」と明確にはありません。ですが、炎上は必然として起こった、歴史と社会の流れとしてこれは遅かれ早かれ起こり得るものだった、と主張している気がします。そしてそれに巻き込まれた人々の物語。と、私は読んだんですが。……感想以前に視点の選定で迷ってるってどうなのよ……。

ところで、物理学が詩として、しかもこんなにも麗しく語られる作品なんて初めて読みました。
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ソニー・マガジンズ刊。

疲れていると頭を使わずに読める本を探します。読書を止めるという選択肢はなし。NO BOOKS NO LIFEなもんで。で、最近のそこらへんの避難場所はハーレクイン・ヒストリカルです。BLは別方面の批評が入るので却ってこっちの方が良かったりして。なにしろテンプレの出来が素晴らしい。マーケティングリサーチがきちんとしてなきゃこうはいきません。メンタル・スナックという呼び名は正しいなと。
この本を読んでいる最中、「ハーレクインを買ったんだっけ?」と何度も確認しました。19世紀初頭(はいはいはいはい!)の英国貴族社会を舞台とした恋模様を描いたジェットコースターノベル、紹介以上。ですけど素直に楽しみました。ヒロインがかなり現代的なお嬢さんだからか。しかも思い込み激しいし、うーんこんな可愛いお嬢ちゃんは大好きだえへへへへへと結構気に入ってしまいました。
一番感銘を受けたのは、ヒロインを溺愛する伯叔父四名。彼女と交際したければ「そのときは、わが屍を越えていってもらうぞ」(文中より引用)ってあんたら…。萌えポイントって万国共通なんでしょうか。
続きも出ているそうで、結構楽しみです。あとマンガ化して欲しいなとも思う。女性●身あたりで。
新潮文庫刊、上下巻。

えー、私がエドワード黒太子をあんまし好きくないのは、リモージュの虐殺のせいでございまして。
ついでにジャンヌ・ダルクをあんまし好きくないのは、デムパ入ってるよな絶対それに処刑された時フランス側も喜んだだろーなーだってとっても厄介払いと思うからでございまして。
大体百年戦争自体あんまし興味ありませんもので大して調べもせずにスルーしてた訳ですが。
面白えじゃねえか畜生。

要約すると、騎士道華やかなりし頃に近代戦の思想を持ち込んだ男、ベルトラン・デュ・ゲクランの一代記です。と同時に、彼と共に…というか、彼を侵食し、同時に振り回された人々の群集劇でもある。そしてどうしようもなく人間の物語でもある。
そこらへんの描写はやはり佐藤賢一氏の持ち味で、すぱんとした語り口ながら繊細な筆致で読ませます。特に黒太子については容赦無いです。騎士の鑑?ハッ!ってな気分にさせられる見事な●●っぷり。まあ大概、騎士物語ってのはヘタレと紙一重なものですがまーさーか黒太子が俎上に上がるとは。これだけでも読む価値あり。あと時代背景と戦争の描写が凄くわかりやすいです。知識が無くともつるっと読める。小説はこうでなくては。
そして最終章。この話は絶対に英雄譚じゃない。英雄譚なら読了後にこんな気分にはならない。
創元推理文庫刊。

「ハメルンの笛吹き男」が実話だと知ったのはいつだったか。
この話の主人公も、タイトル通りパイド・パイパーよろしく子供たちを引き連れてヨーロッパ横断の旅に出ます。最終目的地は英国の我が家。時は1940年の夏、伍長閣下大活躍の時代。
ハメルンと違うのは子供たちは安全を願う親や親戚からの託されものだということです。そのいきさつを描いたロードムービーならぬロードノベルがこの話。なんつーか、全体に淡々とした描写が却って情景を際立たせて、なんでこんなところでというところで不意打ち食らったみたいに涙が出てきて困りました。別にお涙頂戴の描写なんかないんですが。(「渚にて」の著者にそんなこたあ期待しません。)
キャラ的には最近ブリティッシュにめろめろでございますが、この主人公もまたいい味を出してる。しかも今回は70のじーさま、内心毒づいたり途方に暮れたり大忙しなのに、あくまで飄々とした言動にダンディズムが感じられてとても良い。「なんでもないこと」のように聞き手に語っていくのがもう。彼と彼の息子さんの恋人との遣り取りも、さりげなさに人生の重みを感じさせて、じんわりと心に沁みるのです。

ところでハメルンて、連れてかれた子供たちが通ったため、音楽や踊りを禁じる「舞楽禁制通り」というのがいまだにあるそうです。
彼らはどこに行ったんだろう。この小説の子供たちみたいに、安らかな日々を迎えられたんだろうか。
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