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今日何を読んだ、面白かったレベルの読書感想文メイン雑記
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久々に本棚の棚卸しをしました。定期的にやらないと溢れるので。つか溢れたので。
本棚の奥から聊斎志異が出てきました。買った覚えが無い。
唐詩選の下巻が出てきません。確かに買ったのに。
化けたのか。(管理の悪さを婉曲に表現してみました。)


ヘタ小ネタです。推敲なし一発書き、ネタがネタのため折り畳みの上で反転、ご存知無い方、あー…という方はスルーして頂ければ幸いです。また、当然ながらUSO800認定品につき、お読み下さいました方にもさらっと流して頂ければ幸いです。
初書きちゅごくさんです。私の脳内ではとある方面のヒエラルキーの頂点に立っているお方ですが、全開で書いたら確実に裏送りな話になります。性的な意味でなく。

 男がいた。長年とある家に仕えていたが、代替わりして不徳の士が主人となった。見る間に主家は傾いてゆき、いよいよこれまでと思われたので、男は暇乞いをした。主人は形見にと香炉をひとつ賜った。
 香炉は見事な白磁、それも官窯の銘品だった。たまたま弟が遊びにきて香を置いていったので、男は香炉で焚いてみた。その夜、男の寝台の柱をほたほたと叩くものがいた。
「もし、旦那様」
 目を醒ますと男の枕元には玉のように白い肌の、妙齢の美女が立っていた。
「わたくしはこのたび縁あって室にお迎え頂きました、白磁の香炉でごさいます。生まれてよりずっと姿かたちばかり賞玩されておりましたのを、旦那様のお陰でやっとお役目を果たすことができました。この喜び、この恩義をどうにかお伝え致したく、変じた次第でございます」
 一夜の歓を尽くして夜が明けると女の姿は無く、香炉があるばかりだった。男はその後なにがあっても、香炉だけは手放すことは無かった。

「で、これがその香炉ある」
 古色を帯びた白磁の香炉は素人目にも良い品だったが、だからと言って珍しい意匠が施されているというものでもない、ごく当たり前の品だった。
「命が革まる時には、よくこういう文物が出るあるよ」
「中の人と枕を交わされたと?」
「良い年をして科挙に疲れた書生の脳内桃源郷を真に受けるあるか」
 言うなり中国は手を伸ばし、ついと香炉を弾いた。止める間もなく香炉は落ちて、日本が予想したよりも軽い音を立てて割れた。
「惜しいことを。博物館ものの品には変わりないでしょうに」
「物は壊れる。当たり前ある」
「…むしろ私の考え方ですね、それは」
 日本は床に膝をつき、破片を拾って袂に収めた。ものの役にも立たんあるよと中国が言っても、日本はさらりと微笑むばかりだった。
「存外似合いかも知れませんよ。私たちも九十九髪のようなものなのですし」
 壊さなければただ人とは比べようも無い時間を、共に過ごすことが出来る。伴侶としては理想かもしれない。だが四季を廻る花にも似た人の命の儚さこそが彼らが愛するものであり、自身の属性でもあった。
「この香炉、私に下さいますか?」
「ガラクタをどうする気あるか」
「継いでみようかと。流すのは金より銀ですかねえ」
「好きにするよろし」
 香炉は砕けることなく綺麗に割れていた。漆で継げば新しい香炉に生まれ変わるだろう。そうしてふたたび、気が遠くなるほどの長い時を生きる。それもまた、いとおしい。
「それで、枕を交わされた?」
「あったかもしれんある。無かったかもしれんある」
 底が知れないと欧米の面々が評する、しかし日本には馴染み深い笑みを浮かべて中国は言った。どちらでも彼らしいと日本は思った。



最初は俺の嫁なコメディだったんですが。
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